はしれ②

ルカワと口をきかねーまま、時間がどんどん過ぎていく。

あいつの様子は、憎らしいほどなにも変わらねえ。

目線すらよこさねぇ。

あいつにとってのおれの存在はその程度なんだろう。

だが、おれも話しかけることはしねぇ。
いまはあいつと話したくないんだ。
話したってどうせかわらねぇ。
なにもかわらねぇ。
なにも通じねぇ。
あいつには、好きだと告げる人間の気持ちが、人を好きだって思う気持ちが、どうやったって分からねえんだ。

口を開けば出てくるのは、そういう恨み言ばかりだ。
それなら、話さないほうがまだましだ。

タオルを持った晴子さんが、ルカワに話しかける。

何事かルカワが言った。
礼を言ったのか。

かつて、オレが好きだった人が、
いま、オレの好きなヤツと、
向き合っている。

その様子を視界の端で、ただ観察するしかできないおれ。

なんでこんなに悔しいんだ。

なんていう、疎外感だ。

>>はしれ3