ルカワと口をきかねーまま、時間がどんどん過ぎていく。
あいつの様子は、憎らしいほどなにも変わらねえ。
目線すらよこさねぇ。
あいつにとってのおれの存在はその程度なんだろう。
だが、おれも話しかけることはしねぇ。
いまはあいつと話したくないんだ。
話したってどうせかわらねぇ。
なにもかわらねぇ。
なにも通じねぇ。
あいつには、好きだと告げる人間の気持ちが、人を好きだって思う気持ちが、どうやったって分からねえんだ。
口を開けば出てくるのは、そういう恨み言ばかりだ。
それなら、話さないほうがまだましだ。
タオルを持った晴子さんが、ルカワに話しかける。
何事かルカワが言った。
礼を言ったのか。
かつて、オレが好きだった人が、
いま、オレの好きなヤツと、
向き合っている。
その様子を視界の端で、ただ観察するしかできないおれ。
なんでこんなに悔しいんだ。
なんていう、疎外感だ。