昼と夜のおまけに

キツネと商店街で買い物だ。

昨日はちとかわいそうなことしちまったからな、謝罪とゴキゲンとりの意味を込めて、買い物だ。

「ほれ、好きなの選べ。」

「…目がチカチカする。」

「だあ!おめーは、どっかいくごとに、チカチカチカチカ言いやがって!暇さえあれば、寝てっから、そんな目玉になるんだよ! この目はなんなんだ!夢見るためについてんのか?ああっ?!」

「触んな。チッ。るせえ。今度は耳がワンワンする。サルのせーだ。」

「ワンワンは犬だろ!」

「どあほう。サルがぎゃあぎゃあうるせーから、耳がワンワンするんだよ。」

「・・・・キツネッ!」

「さる。」

「万年寝太郎。」

「万年ドシロート。」

きいいいっっ

「さーる。」

「ちょっと、あんたら、うるさいよ。」

店のおばちゃんに怒られた。

「ち、テメーのせ-だ。」

「テメーだ。」

「てめっ」
おばちゃんがも一度にらむ。追い出されたら困るからな。

「もーいいから、選べ。どれにするんだ。」

「・・・・・・」

それなりに選ぶ様子を見せはじめた。

5分後。

長ぇ。
「おいいいかげんに・・」といいかけたとこで、変化があった。
細い目を更に細めて、じっととまった。

「…これ。」

う!

「これがいい。」

赤くて、花びらが舞ってる柄の茶碗だ。

うーーむ。

「これ、てめーにはちと可愛すぎやしねえか。」

「これ。これがいい。これが」

「わーったわーった。」

一度言いだすと、とまらねーから、聞いてやる。
茶碗を持って、次はハシだ。

「どれがいい?」

「これ。」

また赤。

こいつ…。
そのあと、湯飲みも、汁わんも、なぜか座布団まで買わされて。
ご丁寧に、全部赤色だ。
柄があるものは決まって花柄だ。
家にこれおいとくのかよ
恥ずかしいなあ。
大楠たちになにを言われるか。

「赤ばっかじゃねーか。」

「赤が好きなんだ。」

「ほぉ、初耳だなあ。」

そう言ったオレを、チラッとみて

「にぶいやつ。」

ぼそっと呟いた。

ばかやろう。
さすがにきづいてらあ。恥ずかしいんだよ。

赤はオレのいろ。
舞う花びらはサクラのはな。

こんなところで、こんなかわいいことしやがって。
帰ったら覚えてろ、このやろー。

「昼と夜のさかい目」を書いた後で、
ちょっと流川くんをいたわりたいと思って書いたのでした。が・・・・