ホーム

今日から2日間。
桜木は親戚の家に行くらしい。
泊まるんだと。
なんもいわねーから、なんかよくわからねーけど、たぶん行きたくねーんだとおもう。

いつもの、わかれ道。
桜木はいつもと違う方向へ向かう。
離れたくなさそうに見えたから、駅のホームまでついていった。

やっぱり、なんにもしゃべらねぇ。

いつもはばかみたいに大きくあけて笑う口が、しっかり閉じられて、
コートではあんなにでっかく見える背中が、すげえちっちゃく見えて、
いろんなもの見てキラキラさせてる目に、輝きがなくなっていた。

「行かなきゃいーのに。」
「そーもいかねーんだよ。」
「フーン・・」
「じゃーな、あんがとな。」
「おう」
「じゃ、乗るかんな。」
「おう。」
「・・・・じゃーな。」

「行かなきゃいーのに」

電車に乗り込もうとする背中に、もう一度言った。
ちょっとだけ振り返って見せた顔は、泣き笑いの顔だった。

そんな顔をしたら  だめだ。

ドアが閉まった。

桜木を隠したまま、電車は行った。

切な系・・。