ホワイト

「あしたと、あさって、部活休む」

リョーチン達にそう告げて、親戚の家に行ってきた。

でもその時、本当は2日目は出るつもりだった。
だけど、出なかった。

あの家へ行くと、いつも、自分がすごく小さくてつまらない人間に思えてくる。
感情みたいなもんがなくなっちまうんだ。

改札口を出て、あたりを見渡す。
俺の町。
たった2日じゃ風景なんて変わらない。
別に、なつかしいとはおもわねえ。

つまらねぇ。

歩く。
ただ、歩く。
帰りたくない。

ぽんと肩を叩かれて 振り向けば、中学ンとき一緒だったやつらが立っていた。

「はなみっちゃん!」

知り合いに会えたことが嬉しくて、一人でいることが寂しくて、誘われるがままに付いて行った。

「久しぶりのオレたちにカンパイしまショー」

ビールのジョッキを手渡される。

ビールの白い泡。
ゆらゆらたゆたう、タバコの煙。

「あれ?のまないの?」

すぐになくなる無数の泡。
消えるようで、決して消えないタバコの煙。

シュート2万本。
病院の白いカーテン。
彩子さんの五代目ハリセン。
ゴリのタオル。
メガネくんのバスケ日誌。
ルカワのバッシュ。

酒は飲まない。
タバコも吸わない。
喧嘩は避ける。

バスケ部に入るとき、洋平たちとそう決めた。

「オレらはネ、ほら、コーソクやホーリツなんて言われたって、だからナニ?って言っちゃうけど。 だけどな、そーゆーところで生きている人たちもいるってわけよ。 おめーはな、そーゆうとこに入っていくんだよ、花道。」

だから、必ず守れと、そう言われた。
その時、本当は、それがどういう意味なのかはよく分からなかったけど。

「わりぃ、帰るわ」

席を立つ。
驚いて見つめられる。

「イキナリな感じは、あいかわらずだなー!もー!」

笑いながら尻を叩かれ、「またね」と、見送られる。

時計を見れば、7時半。

体育館へ行こう。

きっと、まだいる。

ホームのその後というか全然また別の日というか。

私は、一番分からないのは花道だなーって思うんですよね。
分かりやすいからこそ本当のところがずっと見えない気がして。
彼の家がどんなだったのかをもう少し書いてあればこんな風には思わなかったんだけど
お父さんのエピソードしかないから。すごく謎に包まれている気がします。
ミッチーや木暮くんの家族の心配をしたりしてるとこからも、
花道にとって家族っていうのはとても大きな存在であると思うんですよね。
いないからこそのありがたみをよく分かってるのかな、とか考えちゃいます。
彼を不幸だといいたいわけでは決してないですけど。

私は花道の家族は軍団だと思ってます、たぶん。
2007