初めて会ったときに、こいつはでかくなるなあと思った。
いや、犬の話じゃねえよ。
人間のはなしさ。
会った時はオレの方が大きかったが、でも抜かされるなってこと、意識しないでわかっていたね。
足も腕もぶっとくて、伸びたい育ちたいといわんばかりの太さでさ。
いや、だから犬の話じゃねえんだわ。
オレのダチの話だよ。
小5の変な時期に、転校してきて。
なんかアンバランスなやつだと思ったなあ。
体と顔と表情と、頭ん中としゃべりと動き、なんもかんもがばらばらで、予測できねえの。
一貫してたのは、なんかでかいってこと。
最初っから面白いヤツだった。
あっという間に、ほんとにどんどん育っていって、中学じゃ学校で一番でかいやつ。
でもどんなにでかくなっても、オレの名を呼んでくるのは、ずっとずっと変わらずで。
可愛くてしかたなかったね。
中学は退屈でしかたないとこだった。
くだらないやつらばっかで。
そうじゃないやつだっていたんだろうが、気付く余裕がなくってさ。
ちょろっと早く産まれたくらいでいばってばっかの年上たちを、かわすことで手一杯。
うまくかわせないときはボーリョク使ってさ。
ああいうもんは、やっちゃおうがやられようが大差ないんだよ。
ちっとも楽しくなかった。
つまんないとこだったけど、わずかながらにみっけもんはあった。
そのひとつは、アイツらに会えたこと。
初めて会ったときから、アイツらそこ抜けにばかだった。
おれはこんなだって知ってるし、おれはこれでいいと思っていた。
これからだって、これでいい。
でも。でも、あいつだけは、このままじゃいけねえと思った。
このままで終らせたくねえってずっと思ってた。
こいつはなんかまちがって俺のとなりにいるんだっていつも思ってた。
だってよ、あいつ、星がきれいだっつって、数え始めるんだよ。
あのでかいからだが、ひいふうみいよぉって。
おれたちがどんなにからかっても、おかまいなしに数えんの。
しまいにゃ俺たちまで手伝わされてさ。
デカイのやら丸いのやら黄色いのやらが川原に寝っころがって、星数えてんの。
笑えたね。
んなことやってるオレ自身が、一番笑えたけどな。
・・・あの時はほんとに楽しかったよ。
あいつ、なんでもおれのまねばっかしやがるから、妙なこともできなかったな。
ははは、見た目を裏切って、おれ密かに皆勤賞。
あいつのケツ叩いて勉強させて、みんなで揃って入った高校。
あのときだけは自分のエゴを通した。
どうしても、同じ高校に行きたかった。
最初で最後のオレのわがままだ。
そしてあいつは叶えてくれた。
バスケットに出会えてよかった。
あいつがバスケにであったある日、あいつに秘密で、おれらこっそり決起式。
泣いたやつまでいたのはナイショ。
あの子が誘ってくれて、よかったよ。
あの人たちがいてくれて、本当によかったよ。
愛とか好きとかそういう言葉なんか、とっくだよ。
とっくの昔に超えているんだよ。
あいつってそんな存在。
おれにとってそういう、存在。
これが、基本かなと思ってます。