サルとキツネと犬


chiro7

実家に帰ると犬がいた。
なんでおれんちに犬なんだ。「犬じゃねーかー!」

どあほうが大喜びしている。
犬好きだからな。
おかしいな、猿なのに。

「おい、キツネ!見てみろよ!大きくて黒でおめーみてえだぞ!ほらこいこい!ルカワ、ルカワ~!」

勝手に人の名前を付けんな。
呼ばれた犬はタっと走ってどあほうに寄っていった。
そんで、股の間におさまった。
もの好きな犬。

「オーオーいい子だなー素直だなー。おめえと全くちがうな、人間ルカワよ。おー?ヨシヨシー」

耳の後ろんところをガシガシしてやりながら「ルカワルカワ」と呼んでいる。呼ばれた犬はずっとしっぽをパタパタいわせている。
あいそよしめ。

「ほらルカワー。ワンって言ってみろ」
「わん」

ちらっと見られて「おめえじゃねえし。」と言われた。
「なあー?ばかですねー?」とか言っている。犬に向かって。
どっちがだ。

「お前、ほえないなぁー」
「その犬は、穏やかな犬なのよ、桜木君」

茶を持ってきたかーさんがそう教えた。

「そうかー、穏やかなのかお前。えらいぞー。そこんとこはオレに似てるな。ヨシヨシルカワー!後で散歩行こうな。ンー!」
そう言って口をくっつけた。

流川はオレなのに。

おわり